よく出るテーマランキング」は過去10年分の国試出題内容を分析した出題頻度のランキングです。
ランキング上位に入ったテーマは”ほぼ”毎年出題されているテーマなので、必ず押さえておきましょう!

 

この記事では「よく出るテーマランキング」 第1位 「CKD(慢性腎臓病)」を紹介します!

テーマの概要

CKD(慢性腎臓病)は、腎障害や腎機能低下が3か月以上持続した状態のことで、慢性腎不全(CRF)および慢性腎不全の早期段階も包括した概念です。治療の基本は腎機能の維持・保護であり、特に食事療法が進行を遅らせるのに重要であるため、管理栄養士国試では特に出題されやすい疾患です。

『レビューブック2023』ではp328-331に掲載されています。

 

出題傾向

主にCKDのステージごとの食事療法が問われますが、「ステージの判断」を検査値(GFRなど)からしなければならないものや、実際の食物選択が適切なのかどうかまで、幅広く出題されています。そのため、「食事療法の内容」「腎機能低下に伴う症状」などポイントごとに理解しておく必要があります。難易度は高い問題が出題されることもありますが、しっかりおさえておきたいテーマです。

過去10年分(27~36回)では、151の選択肢で出題されており、出題ガイドラインの項目自体が多い2章や7章ではほぼ毎回出題されているため、高頻度と言えます。

 

①CKD(慢性腎臓病)の食事療法(RB-p331)

慢性腎臓病の食事療法では、エネルギー摂取量たんぱく制限は行うか、が大きなポイントになっていきます。たんぱく制限では特に、それを行うことによって配慮が必要なこと(窒素出納など)についてまで考えられるようにしておきたいです。また、(血液/腹膜)透析に至った症例は、エネルギー、たんぱく制限だけでなく、カリウム・リン、水分量に考慮しなければならないため、よく出題されています。

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34回130問

52歳,女性.身長150 cm,体重52 kg(標準体重50 kg).血清カリウム値6.0 mEq/L.腹膜透析を開始した.この患者の栄養管理に関する記述である.最も適当なのはどれか.1 つ選べ.

⑴ エネルギーの摂取量は,40 kcal/kg標準体重/日とする.

⑵ たんぱく質の摂取量は,0.6 g/kg標準体重/日とする.

⑶ カリウムの摂取量は,3,000 mg/日とする.

⑷ リンの摂取量は,1,500 mg/日とする.

⑸ 水分の摂取量は,前日尿量に除水量を加えた量とする.

正解(5)

 

35回125問

CKD 患者に対するたんぱく質制限(0.8 ~ 1.0 g/kg標準体重/日)に関する記述である.

最も適当なのはどれか.1つ選べ.

⑴ 糸球体過剰濾過を防ぐ効果がある.

⑵ 重症度分類ステージG1の患者に適用される.

⑶ エネルギー摂取量を20 kcal/kg標準体重/日とする.

⑷ アミノ酸スコアの低い食品を利用する.

⑸ 制限に伴い,カリウムの摂取量が増加する.

正解(1)

 

36回127

標準体重50 kg のCKD 患者. 血圧152/86 mmHg, 血清カリウム値4.8 mEq/L,eGFR37 mL/ 分/1.73 m2この患者の1日当たりの目標栄養量の組合せである.ただし,食塩は6 g/ 日未満とする.最も適当なのはどれか.1つ選べ.

 

エネルギー
(kcal/日)
たんぱく質
(g/日)
カリウム
(mg/日)
(1) 1,200 40 1,000
(2) 1,200 50 2,000
(3) 1,600 40 2,000
(4) 1,600 50 2,500
(5) 1,800 60 3,000

 

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②腎機能低下に伴う症状(RB-p330)

CKDをはじめとして、そもそも腎機能が低下するとどのような症状が出現し、何に影響するのか、を知っておかなければ、「なぜエネルギーはこの設定なのか」「なぜたんぱく制限するのか」に結びつかないかもしれません。腎機能に何があったかをしっかり理解した上で、このテーマを解いていくとよいでしょう。

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33回34問

腎・尿路系疾患に関する記述である.正しいのはどれか.1つ選べ.

⑴ 急激な腎血流量減少は,腎前性急性腎不全の原因になる.

⑵ 糖尿病腎症の第4 期は,たんぱく尿の出現で判定される.

⑶ 慢性腎不全では,低リン血症がみられる.

⑷ 腎代替療法のうち最も多いのは,腎移植である.

⑸ 無尿は,透析導入の必須項目である.

正解(1)

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対策

CKDは腎臓の働き関連する栄養素代謝についての理解が前提になります。
まずは臓器の基礎知識などをおさえておきましょう。

その上で、『レビューブック2023』(p331)や『クエスチョン・バンク2023』(p.251)にあるCKDの食事療法各栄養素・ステージごとの摂取量をインプットしましょう。もちろん、CKDの病態や重症度分類なども『レビューブック2023』(p329~330)や『クエスチョン・バンク2023』(p252)でおさえておくべきです。

近年の出題傾向を踏まえると、ただ知識をインプットしていくだけでなく
「CKD患者へどう食事のアドバイス行うか」
「栄養素ではなく食品に置き換えるとどのくらい摂るべきなのか」
など、実際に栄養指導を行うことを想定して学習することが重要だといえます。

実際のCKD患者への指導については
『なぜ?どうして?③』でストーリー形式で解説していますので、
何度やっても解けない!? という方は一度読んでみるのもオススメです。

 

▼『なぜ?どうして?③人体の構造と機能/臨床栄養学②』6章 慢性腎臓病(CKD)「長期間にわたって腎機能が低下」(p213~)

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