今回は 「よく出るテーマランキング」 第8位 「食事摂取基準」を紹介します!
テーマ概要
「食事摂取基準」は,健康増進法(第16条の2)に基づいて,厚生労働大臣により定められます.健康な個人ならびに集団を対象として,国民の健康の保持・増進,生活習慣病予防の為に参照するエネルギーおよび栄養素の摂取量の基準を示すものです.今回は,国試での出題が多い「食事摂取基準策定の基礎理論」「食事摂取基準活用の基礎理論」について紹介していきます.
『レビューブック管理栄養士2023』では、p651~657に掲載されています。
なお、「日本人の食事摂取基準2020年版」ではp4~22にあたります。
出題傾向
①策定の基本的事項(RB-p651)
エネルギー・各栄養素で使用される指標について、「何が目的で設定された値なのか」「どういう意味があるのか」が問われます。
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34回84問
日本人の食事摂取基準(2020年版)における策定の基本的事項に関する記述である.正しいのはどれか.1つ選べ.
⑴ 対象者に,生活習慣病のリスクを有する者は含まれない.
⑵ 対象とする摂取源に,ドリンク剤は含まれない.
⑶ 示された数値の信頼度は,栄養素間で差はない.
⑷ 望ましい摂取量は,個人間で差はない.
⑸ エネルギー収支バランスの指標に,成人ではBMI(kg/m2)を用いる.
正解(3)
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②各指標を理解するための概念図(RB-p652)
EAR、RDA、AI、UL*それぞれの値で栄養素を摂取した時に、不足/過剰のリスクがどの程度あるのかが問われます。
*第35回国試では、指標は日本語表記(推奨量・目安量 等)ではなく、略称表記(RDA・AI 等)だったので、セットで覚えておくようにしましょう!
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35回84問
日本人の食事摂取基準(2020年版)における栄養素の指標に関する記述である.
誤っているのはどれか.1つ選べ.
⑴ RDA は,個人での摂取不足の評価に用いる.
⑵ 摂取量がAI を下回っていても,当該栄養素が不足しているかを判断できない.
⑶ UL には,サプリメント由来の栄養素を含まない.
⑷ DG の設定で対象とした生活習慣病に,CKDが含まれる.
⑸ DG の算定に,エビデンスレベルが付された.
正解(3)
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③策定の留意事項(RB-p654)
食事摂取基準で決められた値は、栄養素を「どのくらいの期間」「何から」摂取していることを想定して決められたか、値をどのような方法で算出しているかが問われます。
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35回86問改
日本人の食事摂取基準(2020年版)における策定の基本的事項に関する記述である.正しいのはどれか.1つ選べ.
⑴ 摂取源には,サプリメントは含まれない.
⑵ 参照体位は,望ましい体位を示している.
⑶ BMI(kg/m2)は,18歳以上のエネルギー収支バランスの指標である.
⑷ 高齢者の年齢区分は,70歳以上である.
⑸ 目安量(AI)は,生活習慣病の予防を目的とした指標である.
正解(3)
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④食事摂取基準活用に関する基本的事項(RB-p655~657)
健康な個人または集団を対象として,健康の保持・増進,生活習慣病の発症予防および重症化予防のための食事改善に,食事摂取基準を活用する場合は,PDCAサイクルに基づく活用を基本とします.食事改善を目的として食事摂取基準を用いる場合の基本的な考え方として,目的とそれに用いる指標,評価,計画と実施について問われます.
なお、「策定の基本的事項」、「各指標を理解するための概念図」は、「食事摂取基準活用の基礎理論」について理解するためにも重要な知識になります。
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35回150問
集団における栄養調査データを,日本人の食事摂取基準(2020年版)を用いて評価した.評価項目とその指標の組合せである.最も適当なのはどれか.1つ選べ.
⑴ エネルギーの摂取不足・・・推定エネルギー必要量(EER)を下回る者の割合
⑵ エネルギーの過剰摂取・・・推定エネルギー必要量(EER)を上回る者の割合
⑶ 栄養素の摂取不足・・・EAR を下回る者の割合
⑷ 栄養素の摂取不足・・・RDA を下回る者の割合
⑸ 栄養素の過剰摂取・・・AI を上回る者の割合
正解(3)
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対策
指標の定義に関する「策定の基本的事項」「各指標を理解するための概念図」と基準値の決め方に関する「策定の留意事項」の2つに分けて対策方法をまとめました。
①策定の基本的事項、各指標を理解するための概念図
このテーマは、それぞれの指標の違いを意識して覚えましょう。『レビューブック2023』p651では表の形式でまとめているので参考にしてみてください。
▼『レビューブック2023』 p651
また、暗記が苦手な人は、栄養疫学の知識がベースにあると理解しながらインプットできるので、1章の統計学や8章の栄養疫学の分野とセットで学習を進めると覚えやすくなります。
②策定の留意事項
特によく出題されるのが「摂取源にサプリメントが含まれるかどうか」や「サプリメントを摂取源としている指標はどれか」という内容です。『レビューブック2023』p654で確認しておきましょう。
▼『レビューブック2023』p654
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