「よく出るテーマランキング」は過去10年分の管理栄養士国家試験の出題内容を分析した出題頻度のランキングです。
ランキング上位に入ったテーマは”ほぼ”毎年出題されているテーマなので、必ず得点できるようにしましょう!
今回は 「よく出るテーマランキング」 第1位 「慢性腎臓病(CKD)/慢性腎不全(CRF)」を紹介します!
目次
●テーマの概要
●出題傾向・過去問にチャレンジ
●対策
●ランクインした他のテーマ
テーマの概要
CKD(慢性腎臓病)は、腎障害(特に蛋白尿)や糸球体のろ過能力(GFR)の低下が3ヵ月以上持続した状態で、慢性腎不全(CRF)および慢性腎不全の早期段階も包括した概念です。治療の基本は腎機能の維持・保護であり、特に食事療法が進行を遅らせるのに重要であるため、管理栄養士国試では特に出題されやすい疾患です。
『レビューブック管理栄養士2025』ではp329~331に掲載されています。
出題傾向・過去問にチャレンジ
①eGFR(推算糸球体濾過量)による重症度分類(RB2025 p330)
慢性腎臓病(CKD)の重症度は、原疾患、糸球体のろ過能力(GFR)、蛋白尿の有無により判断されます。GFRは、24時間の蓄尿が必要ですが、慢性腎臓病の重症度分類には、血液検査(血清クレアチニン値または血清シスタチンC値)と年齢、性別によって簡易に推定するeGFRが用いられます。慢性腎臓病は重症度によって目標栄養量が異なるため、まずはeGFRで重症度が判断できるようになっておきましょう。
::::▼過去問にチャレンジ::::::::::::::::::::::::
[37回126問]
55歳,女性.標準体重55kgのCKD患者.eGFR40mL/分/1.73 m².この患者の1日当たりの目標栄養量の組合せである.最も適当なのはどれか.1つ選べ.
エネルギー たんぱく質
(kcal/日) (g/日)
⑴ 1,700 ・・・30
⑵ 1,700・・・40
⑶ 2,100 ・・・30
⑷ 2,100 ・・・40
⑸ 2,400 ・・・40
正解(2)
[36回127問]
標準体重50 kg のCKD 患者. 血圧152/86 mmHg, 血清カリウム値4.8 mEq/L,eGFR37 mL/ 分/1.73 m²この患者の1日当たりの目標栄養量の組合せである.ただし,食塩は6 g/ 日未満とする.最も適当なのはどれか.1つ選べ.
エネルギー たんぱく質 カリウム
(kcal/日) (g/日) (mg/日)
(1) 1,200 ・・・40 ・・・1,000
(2) 1,200 ・・・50・・・2,000
(3) 1,600・・・40・・・2,000
(4) 1,600 ・・・ 50・・・2,500
(5) 1,800・・・60・・・3,000
正解(3)
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②慢性腎臓病(CKD)の食事療法(RB2025 p331)
慢性腎臓病の食事療法では、十分なエネルギー摂取と、たんぱく質・食塩の制限が大きなポイントです。たんぱく質制限では、窒素出納に配慮しつつ、十分にエネルギー摂取量を確保する必要があるため「推定たんぱく質摂取量」等を評価することが重要です。また、37回の国試では「推定食塩摂取量」についても出題されました。それぞれの算出方法についても復習しておきましょう。
::::▼過去問にチャレンジ::::::::::::::::::::::::
[34回130問]
52歳,女性.身長150 cm,体重52 kg(標準体重50 kg).血清カリウム値6.0 mEq/L.腹膜透析を開始した.この患者の栄養管理に関する記述である.最も適当なのはどれか.1 つ選べ.
⑴ エネルギーの摂取量は,40 kcal/kg標準体重/日とする.
⑵ たんぱく質の摂取量は,0.6 g/kg標準体重/日とする.
⑶ カリウムの摂取量は,3,000 mg/日とする.
⑷ リンの摂取量は,1,500 mg/日とする.
⑸ 水分の摂取量は,前日尿量に除水量を加えた量とする.
正解(5)
[35回125問]
CKD 患者に対するたんぱく質制限(0.8 ~ 1.0 g/kg標準体重/日)に関する記述である.
最も適当なのはどれか.1つ選べ.
(1) 糸球体過剰濾過を防ぐ効果がある.
(2) 重症度分類ステージG1の患者に適用される.
(3) エネルギー摂取量を20 kcal/kg標準体重/日とする.
(4) アミノ酸スコアの低い食品を利用する.
(5) 制限に伴い,カリウムの摂取量が増加する.
正解(1)
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②腎機能低下に伴う症状(RB2025 p330)
CKDをはじめとして、そもそも腎機能が低下するとどのような症状が出現し、何に影響するのか、を知っておかなければ、「なぜエネルギーはこの設定なのか」「なぜたんぱく制限するのか」に結びつかないかもしれません。腎機能に何があったかをしっかり理解した上で、このテーマを解いていくとよいでしょう。
::::▼過去問にチャレンジ::::::::::::::::::::::::
[33回34問]
腎・尿路系疾患に関する記述である.正しいのはどれか.1つ選べ.
⑴ 急激な腎血流量減少は,腎前性急性腎不全の原因になる.
⑵ 糖尿病腎症の第4 期は,たんぱく尿の出現で判定される.
⑶ 慢性腎不全では,低リン血症がみられる.
⑷ 腎代替療法のうち最も多いのは,腎移植である.
⑸ 無尿は,透析導入の必須項目である.
正解(1)
[34回129問]
CKD(慢性腎臓病)の栄養アセスメントに関する記述である.最も適当なのはどれか.1つ選べ.
⑴ 推算糸球体濾過量(eGFR)の算出には,血清クレアチニン値を用いる.
⑵ 重症度分類には,尿潜血を用いる.
⑶ たんぱく質摂取量の推定には,1日尿中尿酸排泄量を用いる.
⑷ ビタミンD 活性化障害の評価には,血清カリウム値を用いる.
⑸ エリスロポエチン産生障害の評価には,血清マグネシウム値を用いる.
正解(1)
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対策
CKDは腎臓のはたらきや関連する栄養素代謝についての理解が前提になります。
まずは臓器の基礎知識などをおさえておきましょう。
CKDの病態や重症度分類などを『レビューブック2025』(p329-331)で覚え、理解を深めましょう。その上で、CKDの食事療法や各栄養素・ステージごとの制限量をインプットしましょう。『レビューブック2025』(p331)を参考に、どのステージからどの栄養素の制限をしなければいけないのか、体重1kgあたりの制限量まで確実に覚えることが必須です。
なお、近年の出題傾向を踏まえると、ただ知識をインプットしていくだけでなく
「CKD患者へどう食事のアドバイス行うか」
「栄養素ではなく食品に置き換えるとどのくらい摂るべきなのか」
など、実際に栄養指導を行うことを想定して学習することが重要だといえます。
実際のCKD患者への指導については
『なぜ?どうして?③』でストーリー形式で解説していますので、
何度やっても解けない!? という方は一度読んでみるのもオススメです。
▼『なぜ?どうして?③人体の構造と機能/臨床栄養学②』6章 慢性腎臓病(CKD)「長期間にわたって腎機能が低下」(p214~)
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第3位 大量調理施設衛生管理マニュアル
第4位 糖尿病
第5位 内分泌疾患総論
第6位 授乳・離乳の支援ガイド
第7位 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
第8位 ビタミン(基礎栄養)
第9位 栄養アセスメントの具体的方法
第10位 食品添加物