「よく出るテーマランキング」は過去10年分の国試出題内容を分析した出題頻度のランキングです。
ランキング上位に入ったテーマは”ほぼ”毎年出題されているテーマなので、必ず得点できるようにしましょう!
今回は 「よく出るテーマランキング」 第5位 「内分泌疾患総論」を紹介します!
目次
●テーマの概要
●出題傾向・過去問にチャレンジ
●対策
●ランクインした他のテーマ
テーマの概要
内分泌疾患は、ホルモンの分泌に異常をきたす疾患です。必要なときに必要な量のホルモンを分泌することで体内のホメオスタシスを維持しているため,過剰になったり欠乏したりすると,様々な症状が現れてしまいます.内分泌疾患のうちエネルギーの消耗が激しい疾患や、合併症に対しては食事療法が必要な場合があるので、管理栄養士が注目するべき疾患のひとつといえます。
『レビューブック管理栄養士2025』ではp338~345に掲載されています。
出題傾向・過去問にチャレンジ
①クッシング症候群(RB2025 p344~345)
コルチゾール(副腎皮質ホルモンのひとつ)の過剰分泌を呈する病態の総称です。高血糖,脂質異常症,低カリウム血症がみられます.
::::▼過去問にチャレンジ::::::::::::::::::::::::
[38回031問]
ホルモンと内分泌疾患に関する記述である.最も適当なのはどれか.1つ選べ.
⑴ 黄体形成ホルモン(LH)は,排卵を抑制する.
⑵ ドーパミンは,プロラクチンの分泌を抑制する.
⑶ 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では,高ナトリウム血症がみられる.
⑷ 先端巨大症では,血中成長ホルモン値が低値である.
⑸ クッシング病では,血中副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)値が低下する.
正解(2)
[35回127問]
クッシング症候群で低下する検査値である.最も適当なのはどれか.1つ選べ.
⑴ 血圧
⑵ 血糖
⑶ 血清コレステロール
⑷ 尿中デオキシピリジノリン
⑸ 骨密度
正解(5)
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②バセドウ病(RB2025 p339~341)
甲状腺機能刺激ホルモン(TSH)受容体に対する自己抗体が持続的に甲状腺を刺激することで、甲状腺ホルモン産生が亢進する甲状腺機能亢進症です。全身の代謝,活動性,腸蠕動が亢進します.
::::▼過去問にチャレンジ::::::::::::::::::::::::
[38回131問]
甲状腺疾患の病態と栄養管理に関する記述である.
最も適当なのはどれか.1つ選べ.
(1) バセドウ病では,血中甲状腺ホルモン値が低値である.
(2) バセドウ病では,エネルギーは15~20 kcal/kg標準体重/日とする.
(3) 橋本病では,血中総コレステロール値が低下する.
(4) 橋本病では,浮腫を認める.
(5) 橋本病では,TSH受容体抗体陽性となる.
正解(4)
[36回128問]
30 歳,女性,甲状腺機能亢進症.BMI 20 kg/m<sup>2</sup>,標準体重45 kg.この患者の栄養管理に関する記述である.最も適当なのはどれか.1つ選べ.
(1) エネルギーは,20 ~ 25 kcal/kg標準体重/日とする.
(2) たんぱく質は,0.8 ~ 1.0 g/kg標準体重/日とする.
(3) カルシウムは,650 ~ 1,000 mg/日とする.
(4) ヨウ素は,3,000 μ g/日以上とする.
(5) 水分の補給は,700 mL/日以下とする.
正解(3)
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③甲状腺機能低下症(慢性甲状腺炎[橋本病],クレチン症[先天性甲状腺機能低下症]など)(RB2025 p341~342)
甲状腺ホルモンの作用不足による疾患の総称です。バセドウ病と反対に,全身の代謝,活動性,腸蠕動が低下します.
::::▼過去問にチャレンジ::::::::::::::::::::::::
[37回033問]
内分泌疾患とホルモンに関する記述である.最も適当なのはどれか.1つ選べ.
(1) 尿崩症では,バソプレシンの分泌が増加する.
(2) 原発性副甲状腺機能亢進症では,血清リン値が低下する.
(3) 原発性アルドステロン症では,血漿レニン活性が上昇する.
(4) アジソン病では,コルチゾールの分泌が増加する.
(5) 褐色細胞腫では,カテコールアミンの分泌が減少する.
正解(2)
[35回041問]
自己免疫疾患とその特徴的な症候の組合せである.最も適当なのはどれか.1つ選べ.
(1) 強皮症 食道蠕動の亢進
(2) シェーグレン症候群 涙液分泌の増加
(3) バセドウ病 徐脈
(4) 橋本病 皮膚の湿潤
(5) 全身性エリテマトーデス 蝶形紅斑
正解(5)
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対策
内分泌疾患に限らずですが、疾患は「正常な状態ではない」ところを理解する必要があるので、まずは「正常な状態」を理解しておくとよいです。
特に内分泌疾患は体内で分泌されているあらゆるホルモンが対象になるので、
①「どこにどのような作用をするホルモンなのか」を理解し
②それが欠乏・過剰になると、どのようなことが体内で起きるのか
を整理できると理解が進みます。
①については『レビューブック2025』(p337)「▼主なホルモンの産生部位と作用」で、②については『レビューブック2025』(p338)「▼主な内分泌疾患」に簡潔にまとめられています。これらで整理した後、各疾患について症状やそれに対する治療法・食事療法への理解を深めましょう。
さらに甲状腺疾患と食事療法について確認したいという方には、『なぜ?どうして?③』がおすすめです。
4章(p122~p165)にてストーリー形式でわかりやすく説明しています。
▼『なぜ?どうして?③人体の構造と機能/臨床栄養学②』4章 「ホルモンのはたらきと甲状腺疾患」(p122~)
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