【連載③】ストーリーで学ぶ!臨床栄養学を克服して得点源にしよう③

実際の疾患を例に、勉強のポイントをチェック!

病気のしくみと臨床栄養学を関連づける問題に対応するためには、どうすればよいでしょうか。お勧めの勉強方法は、臨床栄養学を勉強するときに、関連する病気のしくみを整理しながら覚えていくことです。具体的に説明していく前に、まずは、胃切除手術について、簡単におさらいしましょう。

胃切除手術とは?

主に胃がんの治療で行われる手術です。病態によってすべて摘出する場合、病変部位(幽門側・噴門側 等)があります。

胃切除手術後のケアって何をするの?

次に、胃切除手術後のケアのうち、国試に出やすいものを中心に紹介します。

なぜこれらのケアが必要なのかを理解するためには、関連する「病気のしくみ」である「胃切除手術で何がおこるか(症状)」を一緒に確認しましょう。また、胃がなくなった状態を理解するために、「胃の構造と機能」もあわせておさえておくと◎

🍅ここから、胃の構造~食事療法を関連づけて考えていきましょう!

胃の構造と機能を確認しよう

まず、胃のはたらきを知るために、解剖生理学の視点で見ていきましょう!

胃のはたらきの中でも重要なのは、食物の消化です。

食物の消化において、胃は溜めておいた食塊を消化液と混ぜ合わせ、食塊を細かく粉砕します。ここでのポイントは、胃が食塊をいったん溜めるという役割を担っていることです。これによって、口から入った食塊が一気に小腸以降に流れ込むことを防いでいます。しかし、胃がなくなってしまうと、溜めておけない食塊が一気に小腸に流れ込むことになります。
🍅「“ 一気に流れ込む“とどうなるの?」が「胃切除で起こる症状」につながる!

胃切除後に起こる症状

食物が急激に小腸に流れ込むことによって「ダンピング症候群」が起こります。まずは、ダンピング症候群の症状をみてみましょう。

ダンピング症候群は症状と発症する時間帯で、早期・後期に分けられます。これらの違いがみられる理由について、みていきましょう。

🍅「これらの症状を抑えるにはどうしたらいいの?」が食事療法のカギ!

胃切除手術後の栄養ケア

ダンピング症候群は、「食物が小腸に急激に流れ込み」、「血糖値が急激に変化すること」が原因です。では、栄養介入でどのように解決できるでしょうか。

このことから、早期ダンピング症候群の症状を緩和するためには食事量と回数を調整することが重要です。一方で、後期ダンピング症候群では、これに加えて血糖に関係する炭水化物の量を調整する必要があります。

まとめ

いかがでしょうか?ただ、「胃切除=少量頻回食・炭水化物少なめ」と覚えるよりも、「胃切除→食物が小腸に一気に流れ込む→ダンピング症候群になりやすい→少量頻回食・炭水化物少なめ」とした方がストーリーで関連づけて覚えられます。
このように、「臨床栄養学は、すでに勉強した解剖生理学や基礎栄養学、臨床医学と関連付けてストーリーをつくるように勉強すると効果的です。

🍅「ストーリーで覚える」のに最適な参考書『なぜ?どうして?』を紹介します